平成25年新年懇親会会長挨拶

新春に当たり、当会を代表して、一言ご挨拶申し上げます。

■外部環境について
 
さて、昨年暮れに政権交代があり、欧米の量的緩和競争に伍して、自国窮乏化路線をひた走ってきた日銀も、政府との共同声明で渋々、世界標準の2%のインフレ目標を設定することになりました。最近の円安・株高』傾向にも見られるとおり、新年早々誠にめでたいことです。ただし、金融緩和手段については、相変わらずの「小出し」であり、期限は明示されず(「できるだけ早期に実現することを目指す」)、資産買入等の基金は、2013年は36兆円増加、2014年は10兆円ほど増えるだけです。



自国窮乏化と申し上げましたが、実際にはどうであったかといいますと、
この15年ほど続くデフレ経済によって、コアコア消費者物価指数(食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く)は8%程、勤労者収入は15%ほど、名目GDPは10%ほど下落したといわれています(注1)。
また、総務省の発表(1月25日)によれば、2012年の消費者物価指数CPI(生鮮食品を除く)は0・1%減(コアコアで0・6%減)で、4年連続のマイナスになっています。

中小企業の経営は外部環境7割、内部努力3割といわれておりますが、この状態では、中小企業の経営は思わしいわけはなく、国・地方の税収も落ち込むわけです。最近の景気のミニ停滞もあり、2012年は非常に厳しい1年であったといえると思います。

マンデル・フレミング効果(注2)により、変動相場制のもとでは、十分な金融緩和がないと、公共投資の需要創出効果はあまりないと言われていますが、今回安陪政権は、歴代内閣で初めて、量的緩和と財政政策(公共投資)をセットで実行しようとしており、その効果が注目されるところです。(評価は分かれるところですが、この点を評価し、クルーグマン教授もアベノミクスはパーフェクトといったそうです)。

リフレ政策によって、まず資産(株・不動産等)インフレが発生し、遅れて(1~2年のタイムラグ)財市場(もの・サービス)にも普及すると言われており、新政権の経済運営には大いに注目・期待したいものです。

■平成24年度の当会の活動について

こうした外部環境の中で平成24年度においては、
1.当会が母体のNPO法人としま創業ネットワークでは、生活産業課様からの業務委託による創業者支援講座、共催による「ビジネスなんでも相談」、区民部区民活動推進課様からの業務委託により「区民活動センター相談業務」を実施させて頂きました。

2.企業経営の支援分野では、

(1)生活産業課様からの業務委託による「個店診断・希望者診断・ビジネスプラン作成支援」を50件ほど実施、税理士会様・社労士会様と共に十士業会による「事業と暮らしの相談会」を実施しました。

(2)東商豊島支部様主催の「経営力向上TOKYOプロジェクト」に当会所属の診断士が協力させて頂きました。

3.商店街・街づくり支援の分野では、

(1)東京都中小企業診断士協会の商店街支援事業の一環として、椎名町すずらん通り商店街、南池袋サンロード商店街に対し支援申し上げました。

また、本年1月28日に、城西支部の地域活性化支援事業のコンペ(旧4区コンペ)において、当会の山辺会員が「『池袋本町・地域支え合い体制づくり支援事業』のより一層の発展のために」という提案を行い、杉並中小企業診断士会とともに最優秀賞(1位)を頂戴しました。

(2)当会独自の商店街支援として、「トキワ荘」関連の支援と、池袋本町商店街の支援を行いました。

(3)昨年6?8月に、「第8回地域・おもしろM大賞」選定事業を実施し、本年1月8日の区商連様の新年会で、足立会長様と共に表彰状を授与させて頂きました。 

(4)昨年9月1日の「大塚阿波踊り」には、診断士18名、弁護士5名、社労士1名、経営者1名の計25名(内女性3名)が、木崎連長率いる区商連の連にて華麗な踊りを披露させて頂きました。

ここに改めて、豊島区様、区商連様はじめご来賓各位のご支援ご協力に深謝申し上げる次第です。

■平成二十五年度については、

(1)区の財政も逼迫しており、当会関連予算の大幅減額も避けられない状況ですが、
従来同様に、商店街・街づくりの支援及び企業経営支援に積極的にご協力申し上げたいと考えております。

(2)城西支部野村支部長のご推薦により、豊島区中央図書館で実施しているNPOの「ビジネスなんでも相談」に東京協会の図書館相談員派遣事業の予算が付くかもしれません。

(3)当会の環境適応力を高めるため、中小企業庁の25年度予算、「ちいさな企業」未来補助金をターゲットに、NPOを認定支援機関として申請する予定でいます。

■最後に、ご来賓各位、会員各位のご健勝と商売繁昌を祈念申し上げて、私の挨拶とさせて頂きます。

(注1) 産経新聞「日曜経済講座」編集委員・田村秀男「『インフレ予想』で動き出すカネ」(2013.1.20)参照。 「コアコア消費者物価指数(CPI)は15年間で約8%下落したが、勤労者収入は15%強、名目国内総生産(GDP)は約1割減った。年率に換算すると、物価はマイナス約0・5%なのだが、勤労者所得はマイナス約1%と2倍の速度で下がっている。」

(注2) マンデル・フレミング効果  変動相場制のもとでは、財政政策により公共投資を行っても、需要創出効果はあまりなく、金融政策のほうが、効果が高いとされている。十分な金融緩和がないまま、財政政策(公共投資)のために国債を発行すると、長期金利が上がり、円高になる。その結果、輸出が減少するので、公共投資の効果は輸出減で相殺されることになる。

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